TecPro Metall GmbHの代表取締役、Holger Malzkorn氏に同社の特長を尋ねれば、こう返ってくるでしょう。「柔軟性、効率、ソリューションへの考え方、そしてお客様と協同で製品の最適化を行える専門知識があることだ」、と。数か月前に、同氏のその言葉が決して誇張ではないことが明らかになりました。自動車部品業界のある顧客から、トレーラーカップリング用の十字管について問い合わせを受けました。これに対応するためには、TecProはパイプを切断し、コンターを整え、曲げ加工をしなければなりません。アーチの部分ではさらにコンターを加える作業が発生します。そうなると、部品の精度には高い要求が求められるのはもちろん、価格も応じたものになります。当初年間5万個のオーダーが見込まれ、その後もさらに発注の可能性があります。現行のマシンでは、パイプ加工のスペシャリストであるTecProであっても実現できないとはいえ、TecPro GmbHセールスマネージャーを務めるDominik Jordan氏と同氏率いるチームは非常に前向きでした。「コスト効率よく、手作業を最小限に抑えて部品を製造するには、自動化されたソリューションが必要でした」と言う同氏は、こう続けます。「唯一この方法でなら、既存のスタッフでもサイクル時間を短縮できます。」
グループで生み出す相乗効果
ノルトライン=ヴェストファーレン州のNeussに本社を構えるTecPro Metall GmbHはNeuenhauserグループの会社で、金属加工事業を営んでいます。グループ傘下にあることはその顧客にとっても大きなメリットがあります。同社特有のノウハウと企業ネットワークが生み出すシナジー効果を利用できるのです。TecProは、自動車・商用車業界ならびに機械・設備製造業界にコンポーネント、アセンブリー一式やシステムを供給しており、 特にパイプ加工に重点を置いています。「Neuenhauserグループ全体がそうであるように、当社もTRUMPFのマシンに絶大な信頼を寄せています。だからこそ、パイププロセスチェーンのプロジェクトでも、Ditzingenの担当者にまず問い合わせてみた次第です」と、Malzkorn氏は説明します。
すべてを一手に提供
TRUMPFでTruLaser Tubeのプロダクトマネージャーを務めるRaphael Heinzelmannにとって、このような要望を寄せられるのはTecProに限ったことではありません。「パイプ加工ではますますプロセスの自動化が求められています。」 当社の設備をもって、私たちはこの目的のために最適な条件をお客様に提示します。TecProの連続する自動パイププロセスチェーンで欠けていたもの、それはTRUMPF製品で当社ポートフォリオにないパイプ曲げ加工機でした。」この穴をTRUMPFのエキスパートは、 transfluid® Maschinenbau GmbH. との戦略的パートナーシップを通じて埋めました。「私たちは力を合わせて、当社品質条件を満たす自動パイププロセスチェーンを提供できます」とHeinzelmannは語ります。
TecProのソリューションは、TRUMPFの自動パイプ切断レーザ加工機TruLaser Tube 7000 fiberと、3Dレーザ装置TruLaser Cell 8030の完璧に調整された相互作用が織り成すものです。「3台目には、当社パートナーtransfluid®の完全電動式CNCマンドレル曲げ加工機が組み合わせられています」と、Heinzelmannは語ります。プロセスチェーンのオートメーションをロボットが叶えます。
切断、曲げ加工、レーザ
TecProは長年にわたり、TRUMPFのパイプ切断レーザ加工機を活用してその実績を積んできました。TruLaser Tube 5000 fiberに加え、TruLaser Tube 7000 fiberもTecProの機械設備には欠かせないマシンです。「要求される部品にはしかし、曲げ部分にコンターを挿入できるマシンも必要でした」と、Dominik Jordan氏は説明します。TRUMPFはTecProの製品の一部をTruLaser Cell 8030で試作しており、この3Dレーザ装置が自動化ネットワークの一部になることは明白です。TruLaser Cell 8030は自動製造向けに設計されており、納得の正確な加工品質と安全性であると私たちは考えます」と、Jordan氏は言います。「TecProはパイプの曲げ加工にtransfluid®のCNCマンドレル曲げ加工機を選びました」とHeinzelmannは説明します。
トレーラーカップリングの十字管製造では、パイププロセスチェーンにより、TruLaser Tube 7000 fiberがパイプのブランク加工を行い、コンターを付けるという円滑な製造工程が実現します。加工されたパイプは、次にtransfluid®のパイプ曲げ加工機に搬送され、ロボットによって自動でローディングされます。曲げ加工が完了するとロボットはTruLaser Cell 8030に部品を搬送します。そこで仕上げが行われます。この3Dレーザ装置では、曲げ加工前に施すと変形してしまうコンターが切り抜かれます。
一台一台が優秀。“精鋭チーム”
「各々のマシンが先のプロジェクトで品質とコストの両面において多大なメリットを授けてくれます」と、Dominik Jordan氏は嬉しそうに語ります。TruLaser Tube 7000 fiberはその加工安全性で、TecProを強く納得させたのです。TruLaser Cell 8030に関しては、TecProの従業員はその分かりやすく時間のかからないプログラミング能力を高く評価しています。「治具と部品のアップロードが完了すると、ほぼ自然にプログラミングが進行するような感じになっています」と、Dominik Jordan氏は語ります。transfluid®の曲げ加工機では、許容誤差に対する要件が確実に満たされるだけでなく、ツールチェンジャを使用して素早く簡単にセットアップすることも可能です。 「重さのある部品でもうまく対応してくれます」と、Jordan氏は付け加えます。
これらのマシンとオートメーションの“精鋭チーム”が、要求される部品の製造に完璧なソリューションであることをTecProと自動車サプライヤーの双方が確認しました。この協力的なパートナーシップに、プロジェクトに関わる関係者皆が非常に満足しています。「TRUMPFとtransfluid®の担当者は、このプロジェクトで密接に協力してくれました。安心でき、コンサルティング、マシンと運転開始作業が一手に提供されたように感じました」とHolger Malzkorn氏はまとめています。