VDL Technicsでは2021年まで、出力4キロワットのTruLaser 3030、出力6キロワットのTruLaser 5030と出力8キロワットのTruLaser 5030 fiberがSTOPAストレージに接続されていました。「これらの高生産性マシンが週末にわたって約150時間レーザ加工した場合、従業員は月曜日にまずすべての製品をSTOPAストレージに収納しなければなりませんでした」と、VDL Technicsのハンス・サンダース取締役は述べています。この作業に再び125~150時間かかったため、高速切断の時間的なメリットが帳消しになっていました。しかも、これは単調な作業であり、貴重な専門人材には本来は任せたくない仕事でした。そのため、同取締役は既に数年前にTRUMPFの担当者に対して、「切断するだけでなく、製品を自律的に取り出して、パレットの上に積んで、ストレージに収納するマシンがあれば素晴らしいのだが」と漏らしていました。その後、まさにそれが出来るTruLaser Center 7030を紹介されたのですが、その時は一度待つことにしました。マシンが実際の現場でどの程度の性能を発揮するかをまずは見極めようと考えたのです。そして、2021年にとうとう機が熟し、 VDL Technicsで初の全自動レーザ加工機が運転を開始しました。サンダース取締役は注文時に、TRUMPFがこのマシンに標準仕様の6 kwレーザの代わりに12 kWレーザを搭載することを条件にしました。それは問題なくクリアされ、このマシンは約10週間後に、初の無人24時間シフト稼働を行うようになりました。今日では、VDLグループ全体で5台のTruLaser Center 7030が稼働しています。サンダース取締役の生産現場は、現在3台の全自動レーザ加工機を所有していますが、それに加えて兄弟会社のVDL Industrial ModulesとVDL NSA Metaalでも、プロセス安定性の高いこのフルオートマシンが頼りにされています。
成功の鍵はオートメーションとデジタル化
オランダのボックステルに本社があるVDL TechnicsはVDLグループの子会社であり、複雑な金属コンポーネントの生産と連続組立に特化しています。顧客層には、農業、運輸業と機械製造業に属する企業などが含まれています。時には非常に複雑になることもあるコンポーネントを、VDLでは20~1,500個のロット数で生産しています。同社のポートフォリオには、設計コンサルティングに加えてレーザ切断・溶接、パンチングと曲げ加工が含まれています。「お客様は、品質と短い納期を求めています。それは、オートメーションとデジタル化を行わなければ成し遂げられません」とサンダース取締役は説明しています。VDL Technicsでは過去数年間にどちらも大きく推進していますが、同取締役はそれが同社の成功の鍵になっていると考えています。
プログラミングして開始
3台の全自動レーザ加工機TruLaser Center 7030に加えて、TRUMPFのレーザ装置1台と曲げプレス1台もSTOPA高層ラックと接続されています。近いうちに、24 kWのレーザ装置も加わることになっています。「ここで依然として手作業で行っているのは、STOPAストレージへの未加工シートの収納だけです」とサンダース取締役は誇らしげに説明しています。ただし、所有しているマシンの中で、TruLaser Center 7030ほど広範囲にわたって自律的に稼働しているものはありません。「装置をプログラミングソフトウェアTruTops Boostを使用してオフラインでプログラミングするだけで、準備が完了します。それ以降、マシンはすべてを自動で処理します」と同取締役は述べています。TruLaser Center 7030では自動化の度合いが高いため、従来の自動型レーザ切断装置よりもプログラミングが簡単になっています。同取締役によれば、「当社のプログラマーは装置に上手く対応できており、プロセスの終わりには完成品が出てくるようになっています」とのことです。
速さよりもプロセス安定性を重視
サンダース取締役は、生産現場で最も重要な要素はロジスティクスであると考えています。その理由として、「レーザ切断が迅速であっても、手動での片付け作業が滞って、下流のプロセスが停滞してしまっては、全く意味がありませんから」と述べています。同取締役は、マシンのプロセス安定性の方を大いに重視しています。「無人切断中にどこかでパーツが引っ掛かって動かなくなってしまったとしたら、問題になってしまいます。」TruLaser Center 7030にはそれを防止する機能が多数備わっています。例えば、ブラシテーブルに統合されているSmartGateによって、パーツが傾くことが防止されます。これは2つのスキッドから構成されており、これらが切断ヘッドと同期して移動して、切断プロセス中に材料を支持します。そして、切断ヘッドに取り付けられている排出シリンダーが、板金部品を下に向かって自動的に排出します。「そのため、ミクロジョイントが不要になっています。最初から最高品質のパーツが得られ、後処理する必要が全くありません。抜きカスと残材はコンテナ内に落下しますが、その際に切断プロセスがそれほど中断することはありません」と同取締役は述べて、次のように続けています。「これには大いに感銘を受けています。」
従業員の負担を効率的に軽減
ですが、TruLaser Center 7030が確実に自動で処理しているのは、アンローディングだけではありません。「板厚とコンポーネントの種類にもよりますが、全自動レーザ加工機が1時間あたりに処理する材料の量は最大で850キログラムに達します。そのため、3台のマシンが週末に稼働すると、相当な量になりますが、それを気にする必要はなくなりました」とサンダース取締役は喜んでいます。 VDLでは、SortMaster Speedが最大3枚のパレットにパーツを積み上げて、保管位置に移動しています。「そこから自動的にTruBend Cell 5170に回され、次のプロセスステップである曲げ加工がすぐに行われることになります」と同取締役は述べて、次のように総括しています。「TruLaser Center 7030を3台導入したことで、受注量を20~25パーセント増加させることができました。この装置が従業員に代わって色々な作業を受け持つことで、従業員の負担が軽くなっているだけでなく、プロセスが大幅にスピードアップしています。」
先見性は大きなメリット
ハンス・サンダース取締役は、このマシンにとても大きな手応えを感じています。「TruLaser Center 7030は比類のない装置です。市場にこれと同様のマシンはありません。大量の部品を素早く確実に、しかも最高品質で加工することを目指すサプライヤー全社に最適です。」また同取締役は、顧客要件が高まり、専門人材不足が続いている現状では、TruLaser Center 7030などのマシンに大きな可能性があると確信しています。
そして、「何年も前のことですが、TRUMPFの外勤営業担当者に、片付けと整理を自律的に行うマシンがあれば買うと言ったことがあるんですよ」と語っています。今日では、金曜の夕方に工場を出ると、3台のTruLaser Center 7030が夜間シフト中に確実、正確かつ生産的に稼働するだけでなく、すべて製品の片付けもキチンと行われるようになっています。