成功を収めているが全く異なる金属加工会社2社の生産を将来を見据えながら統合するにはどうすれば良いでしょうか?その問いの答えを求めていた創業者トーマス・ロー氏と取締役マティアス・クロル氏は、TRUMPFのスマートファクトリーコンサルティングのエキスパートからアドバイスを得ることができました。
統合してスマートに生産
課題
プラス面としては、金属加工会社が2社あること、従業員が55人いること、18,500平方メートルの敷地があること、そして、勇気と先見性のある創業者がいることが挙げられます。マイナス面では、近代的な新しい生産棟を望む声があります。将来的には、両社の製品が完璧に調和した工程で生産され、スマートで効率的かつ将来性のあるものになることが求められています。これには、両社のあらゆる技術、生産戦略及び工程を精査する必要がありました。ポテンシャルやシナジーはどこに隠れているのでしょうか?既存のキャパシティの拡大やオートメーションが意味を持つのはどこでしょうか?まだ存在していない新しい技術に参入する価値はあるのでしょうか、そのためにはどのような前提条件が必要なのでしょうか?既存の機械の中で、将来的にも使えるものはどれでしょうか、新しい機械に投資する意味はどこにあるのでしょうか?
解決策
TRUMPFの新しいスマートファクトリーコンサルティングサービスである工場設計では、生産計画の際に全面的にお客様のご相談に応じて、サポートすることを目的としています。その際、全く新しい生産設備を作るのか、既存の生産設備を再構築するのかは関係ありません。工場設計者は、計画の際にTRUMPFの製品を考慮に入れるだけでなく、既成概念にとらわれずに考えます。専門家の分析によって生産においてどこにキャパシティがあるのかが明確に示されました。LoKaポートフォリオのオートメーションの可能性は、これまで想定されていたほど包括的ではないことが明らかになりました。クロル氏は次のように付け加えています:「オートメーションによって多くのことが達成できることを、TRUMPFのリファレンスカスタマーのもとで実体験することができました。しかし、当社では特殊パーツやシングルパーツを多数生産に回しているため、そう簡単ではありません。工場設計チームも製品分析の助けを借りてこれを判断し、この点について何度も議論を重ねてきました。これはコンサルティングが一般的にどのように行われるかを示す良い例です: できるだけ多くの機械を交換したり、新しい機械を購入したりすることが目的ではありませんでした。当社に最適なソリューションを見つけることが目的でした。」
実行
LoKaとLKの既存の機械のうちどれを新生産に引き継ぐか、新しいシステムのどれを購入するか、どの追加技術を導入するかを明確にしてから、生産棟の設計を行いました。取締役のマティアス・クロール氏:「TRUMPFの工場設計チームは、事前に作成した理想的な材料の流れを立案し、当社の従業員と一緒に、誰もが納得するまで実物大の機械モデルを生産棟プランの上で時間をかけて熟考しました。」理想のバージョンの全方策のうちの約20%が、スマートファクトリーの最初の拡張段階で実行されました。このようにして同社はTRUMPFの半自動レーザー切断機を2台購入し、全く新しい技術に参入することに決めました。しかし、同じく決め手になったのは、将来的にスチールとステンレスを別々に処理するために、コンサルティングチームが開発したソリューションでした。溶接と研磨には、厳密に分けられたチャンバーが作られました。さらに、2つの独立した組立エリアとクリーンルームも新設されました。LoKaの経営陣にとって重要であったのは、材料の流れの最適化、完璧な機械稼働率、そしてシステムの段取り替えや清掃に伴う追加作業を制限内に抑えることでした。さらに、LoKaは最初の拡張段階で、機械や資源が両方の生産現場で使用されるようになったことにより、すでに利益を得ています。
展望
ロー氏とクロル氏は、機械を新しい場所に設置し、工程が安定するのを待ってから、自動プログラミングのTruTops Boostを導入したいと考えています。これまで別々であったLoKaとLKのERPシステムの統合は、すでに進行中です。やるべきことはまだたくさんあります。しかし、双方ともに、スマートファクトリーへの道を歩むために、工場設計コンサルタントのサポートを受けて、あらゆる次のステップの備えとなる重要な基盤を築くことができたと確信しています。
ストーリーパート2
作業者とマシンの移転完了
2022年1月、ヒュッテンベルクの新しい本社工場の建設作業が始まりました。それからわずか6か月後の2022年8月、新工場への移転が3段階に分けて行われました。スマートファクトリーコンサルタントが予め入念に計画しておいたため、移転プロセスはすぐに安定しました。目指していたシナジー効果も既に感じられるようになっているとトーマス・ロー氏は述べて、次のように続けています。「両社を統合して得られた大きなメリットは、これまでよりも優れた製造技術を製品に注ぎ込めるようになったことです。レーザ溶接に関して、LK Mechanikはもう何年も前から非常に高い能力を有しています。現在、このノウハウを以前のLoKa製品に反映させようとしているのですが、お客様からも非常に良いフィードバックを頂いています。」
生産現場の透明性も全体的に向上したとのことであり、「どこにどのオーダーがあり、その製造ステータスがどのようになっているかを把握できるようになっています。この点に関して、本当に大きく進歩しました」と説明しています。また、現場ではTruTops Boostによる自動プログラミングを目指していますが、それを行うには、これまで別々であったLoKaとLK MechanikのERPシステムの統合をまず完了させる必要があります。「これについては、全従業員が関与して付加価値を認識して、一丸となって取り組むことを重視しています」とロー氏は断言しています。
これと並行して、LK Mechanikではデジタル化を推進して、更なるプロセス最適化を行っています。「やるべきことはまだたくさんあります」とロー氏は述べて、次のように締め括っています。「ですが、スマートファクトリーへの道を歩む上で、工場設計コンサルタントのサポートを受けながら、あらゆる次のステップの備えとなる重要な基盤を築くことができたと確信しています。」
2023年12月11日現在