CO2高出力レーザーシステムと錫を使用してEUV光線を生成
モバイル端末機器、自動操縦、AIなど―私たちのデジタル世界は小型化とオートメーションにより、コンピューター性能に対する要求が絶えず厳しくなっています。この結果、チップセット内の半導体で必要とされるトランジスタのスペースは増え続けています。これは新しいことではなく、Intel創設者の一人は「内蔵回路のトランジスタの数は約18か月ごとに倍になる」とすでに予想していました。これは「ムーアの法則」として知られており、今日でも有効とされます。このようにして1平方センチメートルに最大1億ものトランジスタを統合するという集積密度にすでに達しています。半導体構造のサイズは徐々に原子規模に近づいています。このようなチップの製造に、TRUMPFの高出力レーザー増幅器が大きな役割を果たします。この装置では、ウェハーの露光のために極端紫外線リソグラフィ(EUV)を生成する発光プラズマを発生させます。リソグラフィシステムの世界大手であるASMLと光学機器メーカーのツァイスと協力し、TRUMPFは1時間で平均100以上のウェハーを処理できる独自のCO2レーザ装置を開発しました。
錫滴からウェハー露光に:EUVリソグラフィの方法
現在のコンピューターチップは通常ナノメートルのサイズで構成され、レーザを使った複雑な照射プロセスでのみ製造することができます。しかし従来のエキシマレーザのUVレーザ光線では限界が見え始めています。それは、これまでの方法では10ナノメートル以下のさらに小さな構造を作ることができないためです。この非常に細かい構造には、より波長の短い光、 つまりは極端紫外線(EUV)が必要になります。
EUVリソグラフィの最大の課題は、13.5 nmの最適な波長を持つ光線を生成することにあります。その解決策として、この波長の極めて短い光線を発光するプラズマを、レーザー光線を使用して生成します。ですが、そもそもこのプラズマはどのようにして発生するのでしょうか?まずジェネレータが真空チャンバー内に毎秒50,000個の錫液滴を落とします (3)。そしてTRUMPFのパルス高出力レーザー (1) が、通過していく錫液滴 (2) それぞれに当たります。錫原子がイオン化し、強力なプラズマが発生します。プラズマから全方向に発せられたEUV光線が、集光ミラーによって受け止めて集められ、最終的にはウェーハの露光 (5) 用にリソグラフィシステム (4) に送られます。
プラズマ照射のためのレーザパルスは、TRUMPFが開発したパルス調整可能なCO2レーザシステム – TRUMPF Laser Amplifierが供給します。この高出力レーザシステムは、出力範囲10kW以上のCO2 CWレーザの技術をもとにしています。これは平均出力の少ないCO2レーザパルスを、5段階の増幅レベルで10,000倍以上 平均パルス出力数十キロワットに増幅します。パルスピーク出力は数メガワットにもなります。レーザ光線の発生、増幅、そして錫滴へのビームガイドというリソグラフィプロセスをTRUMPFのコンポーネントが行います。独自の新しいソリューションでもあるこの複雑な技術に加えて、連続生産導入サイクルが非常に早いことや顧客の特定の要望を実現化できることは、ディベロッパーやサービスエンジニア、生産担当者にとっては大きなニュースでしょう。
大手企業との共同開発によりTRUMPFは世界でも独自のCO2レーザ装置を生み出しました:リソグラフィシステムの世界大手メーカーASMLは、インテグレータとして滴下用のコンポーネントとスキャナを担当し、EUVレンズはツァイスのものを使用しています。この装置では毎時平均100個以上のウェハーを加工でき、連続生産には十分です。このEUVリソグラフィは技術的に価値があるだけでなく、世界中のチップメーカーにとって非常に経済的です。