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VCSELでのレーザ熱処理

VCSELレーザは、さまざまな表面や素材の熱処理に使用されています。 乾燥、溶接、シーリング、はんだ付け、加熱 などの工程を最適化できます。

乾燥、溶接、シーリングや加熱のためのVCSELレーザ熱処理

多くの工業プロセスにおいて、VCSELレーザは表面加熱用ツールとして使用されています。高強度赤外熱源として、波長を選択できる上、精密な指向性のダイオードレーザ熱処理は、スケーラブル でさらに高効率です。VCSELレーザレイは、乾燥、溶接、シーリング、  はんだ付けと加熱に適応します。 また、プラスチック、合金、鉄コンポーネントの積層造形でも、多くのメリットを発揮します。狭帯域光線なので、プラスチック溶接や表面のレーザ溶融にも適しています。基本的に、正確な面積と温度管理 が重要なすべての工程に適しています。また、VCSEL加熱システムは、熱処理中の、IRカメラ やパイロメーターでの温度測定にも適応します。レーザ熱処理モジュールは、高精度が必要な、フレキシブルな大面積加熱用途に非常に適しています。従来の加熱方式と比べると、柔軟性、精度、コスト面で 大きなメリットがあります。

VCSELレーザの熱処理は、どう機能するのでしょうか?

数千のマイクロレーザ(VCSEL)が1つのチップに搭載されています。このチップが各エミッターに56個搭載され、 複数のエミッターが1つのモジュールにまとまっています。長方形の放射面に数百万個のマイクロレーザを配置し、数kWの赤外レーザパワーを照射できます。VCSELモジュールは、指向性があり大面積の長角光線断面で、100 W/cm² の照射強度の近赤外を生成します。このように、 高価なレーザ光学ユニットやスキャナシステムを追加することなく、精密かつ局所的な熱処理ができます。

工業製造プロセスでの局所レーザ熱処理のメリットはなんでしょうか?

工業用熱処理におけるダイオードレーザ(VCSEL)のメリット

VCSELレーザテクノロジーには、リフローオーブンやホットバーによる加熱、ホットスタンピング、ズーム光学系を備えたレーザなど、従来のテクノロジーに比べて多くの利点があります。

熱処理領域の精密なコントロール

波長を選択でき、局所的な照射が可能なので、正確に強度や面積を設定し、優れたプロセス結果を達成できます。

スケーラブル出力のレーザ加熱モジュール

用途に応じて、モジュールサイズを調整してください:搭載するエミッターの数を変更したり、ハウジングを調整します。

高速熱処理工程

VCSEL加熱システムの照射強度は 100 W/cm² で、赤外ランプやハロゲンランプよりもはるかに高くなっています。

レーザ熱処理用にカスタマイズされたソリューション

VCSELのエミッター数を選択したり、レンズ機能を追加して、熱密度やレーザ光線を個々の生産ニーズに合わせます。

世界中でサポート

トルンプは、世界中のお客様にアプリケーション サポートを提供しています。

VCSELレーザは、熱処理にどのように使われているのでしょうか?

VCSELレーザアレイによる加熱は、多くの生産/工業プロセスで役立っています。製造/組立ラインにおけるプラスチック、合金、鉄コンポーネントの溶接、はんだ付け、シーリング、軟化などがあります。

溶接

VCSEL加熱システムは、素材を結合または接続し、プラスチックを溶接し、ストリップ敷設のために複数の材料層を加工します。その結果、優れた強度な上、歪みを抑えられます。

シーリング

VCSEL加熱システムの熱で、異なる表面を密に結合出来ます。 

乾燥  

濡れたコーティング材をレーザで熱処理すると、乾燥工程を効率よく促進できます。

加熱

VCSELレーザによる熱処理だと、例えば、材料が柔らかくなったり、 処理量が増えます。

はんだ付け

VCSELシステムだと、はんだ付け領域を局所的に加熱でき、はんだ付け時間を削減できます。こうして、品質向上と 処理量の増加を実現します。

積層造形

金属部品の積層造形では、 VCSEL熱処理を用いると、 熱応力を低減できます。VCSELシステムは、プラスチックも溶かすので、部品を積層造形できます。

溶接

VCSEL加熱システムには、様々な用途があります。例えば、 プラスチック/パーツの溶接、家具パネルの曲げ加工接合や複合材料製造用粘着テープの 加熱 があります。

レーザ透過溶接

プラスチックは、レーザ透過を使用して溶接できます。この手順では、2つの熱可塑性プラスチックをレーザ光で接合します。レーザ光は、部品の透明な表層を透過して、その下の輻射吸収部を加熱します。吸収性プラスチックが溶けて、透明な接合領域を溶かします。VCSEL加熱システムでは、1回のパスで加工品のアプリケーション領域を同時に溶接および加熱できます。

ファイバー配置とテープ敷設工程

VCSELシステムは、 ファイバー配置やテープ敷設工程向けにカスタマイズされた高出力レーザソリューションを提供します。このように、VCSELレーザを用いた熱処理で、 複合材料をスケーラブルかつフレキシブルに製造できるようになりました。

レーザエッジ溶接(プラスチック溶接)

VCSELアレイは、家具用パネルの工業生産に適しています。曲げ加工や表面をシームレスに溶融し、  優良な製品仕上げを達成します。コンパクトで信頼性の高いVCSEL熱処理源は、赤外レーザパワーで、ターゲットへ精密に制御でき、特に高処理量の生産アプリケーション用に優れています。

シーリング

VCSELテクノロジーを使うと、非常に精密な高速シーリングが 可能です 。したがって、電池生産の効率などを格段に向上できます。

パウチセルのシーリング

VCSELシステムを使うと、パウチセルのシーリングを3倍加速できます。それには、パウチフォイル内側で溶接部分に近いところに、溶接用の熱を加えます。熱処理で、非常に正確なシーリングが可能です。こうして、フォイルにシワが入るのを防ぎ、電池セルの寿命を延長できます。このプロセスで、パウチセルの品質と均質性を向上できます。

乾燥  

VCSEL加熱システムは、 電池フォイルの乾燥など、 可変スケールのアプリケーションに多様に使用できます。

バッテリーフォイルの乾燥

コーティング後、バッテリーフォイルを乾燥し、必要があれば活物質から溶剤を除去します。産業用VCSELシステムは、 フォイルの乾燥など大面積の熱処理工程に最適です。特にVCSELレーザアレイを用いた熱処理は、スケーラブルおよび照射強度の両面で非常に柔軟性があります。精密なローカルコントローラーを用い、波長を選択した赤外光で、広い面積を加熱することができます。

加熱

VCSEL加熱システムは、スチールやシリコンウェハーなど特定材料の加熱エリアを精密に処理することができます。

軟化

自動車産業では、車体鋼部品を局所的に軟化して、特定の領域に対象を絞った熱処理を施します。例えば、Bピラーなどです。VCSELソリューションは、高強度の鋼鉄部品を選択的に軟化する迅速かつ簡単な方法です。

ウェハー加熱

VCSELアレイを使うと、シリコンウェハーの均質な加熱が可能です。非常に均質かつ高速に加熱できるため、ウェハー製造における急速熱加工(RPT Rapid Thermal Processing)に最適です。個々の加熱ゾーンを正確に制御できます。レーザ熱を使うと、毎秒数 100 ℃ の非常に急速な温度上昇が可能です。温度プロファイルによる優れたローカル コントローラーのおかげで、VCSELはウェハーの品質を向上します。

レーザによる同時焼成プロセス

VCSELレーザアレイを使うと、ソーラーセル製造の効率を向上できます。ソーラーセルの表面にある銀粒子接触の焼きつきは、「ファイアリング」と呼ばれます。このプロセスにVCSELシステムを使用すると、多くのメリットがあります。レーザ光による迅速な焼きつきでは、ソーラーセルのみが加熱され、オーブンの他の部分は冷たいままです。レーザ光を熱源に使うと、エネルギー効率になり、コスト効率が向上します。さらに、オーブンの設置スペースを抑え、寿命を延長できます。これらの特徴を持つダイオードレーザ加熱装置で、生産コストを大幅に削減できます。

超高速セル再生

VCSELアレイは、ソーラーセルの効率を高めることができます。高出力VCSELレーザモジュールで モノクリスタル シリコン ソーラーセルに照射すると、 秒単位の超高速再生で活性ホウ素の発生を持続的に防止します。その結果、セル効率が大幅に向上します。このプロセスは効率的で、強度とターゲット領域の点で高度にローカライズされています。 超高速セル再生は、 高性能ソーラーセルの効率に明らかなメリットをもたらします。

ライトソーキング

超高速 ライトソーキングでは、VCSEL加熱システムの強い光線と高温で、生産中にエネルギーバリアが排除されます。このプロセスで、ソーラーセルの内部抵抗が下がり、稼働効率が高まります。その結果、VCSELシステムはソーラーセルの効率を向上できます。

はんだ付け

VCSELレーザは、プリント基板の小さな接点へのはんだ付けに非常に有効で、必要に応じて従来のテクノロジーよりも高い出力を提供できます。

レーザアシストソルダリング (LAS)

LASでは、VCSELレーザ赤外熱処理を利用し、はんだボールが直接プリント基板にはんだ付けされます。これは、小さなボールやピッチのシナリオで特に有利です。LASではVCSELレーザを用いて、高精度の局所熱処理を行い、最高品質のはんだ接合を確保できます。さらに、レーザ熱処理にはプリント基板の寿命の延長のメリットもあります。

レーザアシスタントボンディング(LAB)

LABプロセスでは、プリント基板上、フリップチップとハンダボールを接続に使用します。VCSELシステムは、チップを上から加熱し、シリコンウェハーから伝わるレーザエネルギーで、チップとプリント基板の間にあるハンダボールを溶かします。これにより、複数チップを搭載したプリント基板全体の広い範囲を、他のソリューションよりも高い出力で加熱できます。

積層造形

VCSELアレイには、金属やプラスチックの積層造形用に大きなメリットがあります。

金属積層造形用予熱
レーザーメタルフュージョンによる部品製造

大量の金属部品を3D印刷する場合、温度勾配が焼結部品に悪影響を与えることがよくあります。上からのVCSELのレーザ加熱で、応力を最小限に抑えることができます。レーザ熱では、プリント部分にかかる熱応力や歪みが大幅に軽減されるからです。こうして、部品の機械特性を向上できます。

プラスチックの積層造形

数千の個別にアドレス指定可能なVCSELレーザは 集光光学系を備え、選択的レーザ焼結(SLS)の光源として使用できます。これには、たった1つまたは2つのスキャニングレーザを使った従来のSLSプリンターと比較して、大きなメリットがあります。特殊なVCSEL加熱システムのお陰で 、高解像度(250 dpi)に加え卓越した生産速度を達成できます。もっとも卓越した従来型のプラスチック積層造形の 約10倍の速度 です。

熱処理用VCSEL加熱システムの稼働例

VCSEL加熱システムによるレーザ熱処理の多才な用途とテクノロジの詳細をご覧ください。

オプションの局所的熱処理を利用すれば、特定の面に直接照射することができます。TruHeat VCSELシステムのエミッションゾーンは、各状況に合わせて正確に制御可能です。

VCSELアレイでは、強度プロファイルを個別に調整できるので、照射ゾーンや出力プロセスパラメータを精密に制御できます。

トルンプのVCSEL加熱システムは、どのように製造され、どう利用されるのですか?

ホワイトペーパー

PDF - 2 MB
9.6 kW VCSEL加熱システムでのウェハー熱処理
このホワイトペーパーでは、9.6 kWの特殊なVCSEL加熱システムで直径300 mmのシリコンウェハーを加工したアプリケーション結果を紹介しています。アプリケーション結果に加えて、シリコンウェハーの高速熱処理(RTP:Rapid Thermal Processing)で大面積を均一に熱処理する際にVCSEL加熱システムを使用する利点についても述べています。

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お客様向け情報

VCSEL加熱システムの概要
TruHeat VCSELシステム

VCSELアレイを用いたレーザ光源は、指向性のある赤外線を広範囲に照射することができます。VCSEL加熱装置のエミッションゾーンを個別に制御することで、高精度な制御が可能です。

トルンプ アプリケーション バッテリーセルのバスバー溶接
バッテリーセルとモジュール

バッテリープロセスチェーン用の当社のレーザソリューションをぜひご覧ください。Eモビリティ向けのリチウムイオンバッテリーでは、バッテリーフィルムの乾燥、シーリングやパーフォレーションなどでVCSEL加熱システムが役立っています。

トルンプ VCSELのメリット

一体VCSELとはどんなものでしょうか。他のレーザダイオードと比べ、どんなメリットがあるのでしょうか。VCSEL の特殊な仕組みを可能にしているのは、どのような構造なのでしょうか。このページではトルンプのVCSELがどのような特徴を持ち、どのような場面で使用されているのかをご紹介します。

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